元地方創生担当大臣 山本幸三氏がCBDCについてFacebookで語る

元 地方創生担当大臣・自民党金融調査会会長 山本 幸三氏がご自身のFacebookで CBDCについて語られま…

元 地方創生担当大臣・自民党金融調査会会長 山本 幸三氏がご自身のFacebookで CBDCについて語られました。

「CBDC(中央銀行デジタル通貨)と暗号技術について(レポートNo.15/2024年5月5日)」

 (元地方創生担当大臣 山本幸三)

1.CBDC関係府省庁·日本銀行連絡会議が本年4月17日に中間整理のレポートを発表した。中身は、一般的な論点整理で、CBDCを導入する際の課題や必要な対応策などを網羅的に指摘しているものである。

2.CBDC(中央銀行デジタル通貨)は、私が大臣を辞めて自民党の金融調査会長に就任してから、直ぐに検討を指示し、日銀と財務省において作業が始まったものである。当時の私の問題意識は、デジタル化が進展する中でキャッシュレス決済サ―ビス利用が広がっており、巨大なプラットフォーマ―が通貨主権を脅かす恐れがあるのではないかということだった。FBが独自のデジタル通貨を発行する構えをみせていたからだ。これは、各国の反発で立ち消えになったが、いつまたぶり返すか分からない。

 また、今日◯◯ペイという決済サ―ビスが乱立しているが、これらを繋ぐ手段がない。CBDCがあれば、即座に連携が可能になり、便利になるはずだ。

 各国もCBDCの検討を本格化しており、少なくとも基準作りに遅れをとってはならないと思っている。その意味で、連絡会議が中間整理を出したことは評価しているが、いくつか物足りない点があるので、指摘しておきたい。

3.第一は、ト―クン型にするのか、台帳型にするのか決めきれていないことだ。台帳型というのは、取引の全てを台帳で管理しようというもので、念頭にあるのは、ブロックチェーン技術だろう。しかし、ブロックチェーン技術はコンピューティングパワーを一般のDB(デ―タ―ベ―ス)より100倍以上(独裁型で数倍)要するのに対し1000分の1程度の処理能力しかないのが現状。これでは、膨大なリテールの通貨取引を処理することは不可能で、必ずシステム障害を起こす。

 歴史的にも台帳ではバンクするという状況の中で生まれてきたのが現金取引である。現金取引は、現金の受け渡しだけで全てが完結し、台帳を確認する必要も書き込む必要もない。これぞ人類が発明した、台帳決済が破綻したときに生み出した知恵なのだ。従って、CBDCは、現金と同じように台帳記載も何も不要なト―クン型でないといけないというのが、私の考えだ。

 銀行のシステム障害が時折起こるのは、現金決済のように一度ご破算にしてということがなく、過去の取引経緯を延々と続けているからなのだ。コンピュータとて万能ではないのだ。現金決済がいかに優れているかを示すものだ。

4.第二に問題なのは、暗号技術について具体的に触れていないことだ。

 私は、CBDCの勉強を始めて、暗号技術の重要さを改めて認識させられることになった。

 暗号技術といえば、第二次大戦のときに、日本の暗号がアメリカ側に完全に解読されていたということが敗戦後明らかになり愕然としたものだが、最近はアメリカは旧ソ連の暗号もかなりの程度解読していたことが漏れ伝えられている。

5.暗号は、暗号文を作る暗号アルゴリズムとそれを解読する鍵の配送問題という二つの要素からなる。

 これまでは、暗号文を複雑にして解くのに時間がかかるようにするという「計算量的安全性」で十分とされていたが、今後量子コンピュータが出てくると、これではもたない。量子コンピュータでも解けない「情報理論的安全性」が必要となる。

 MITのクロ―ド·シャノン教授が1949年にワンタイムパッドという方法を使うと情報理論的に解読不可能な暗号を作ることができることを数学的に証明した。ワンタイムパッドには3つの条件がある。第一は、送りたい平文と同じかそれ以上の長さの暗号鍵が必要。第二は、完全にランダムに作られており、しかも一度使われたら二度と使われないこと。第三に、事前に返信者と送信者に暗号鍵が安全に配送されていること。

 これらの実装はなかなか難しい。

6.次に鍵の配送だが、これも問題だらけだ。今日のインターネットは、いわゆる公開鍵方式で運営されている。公開鍵方式とは、暗号化する暗号鍵と復号化する暗号鍵は異なるが、一対一対応のペアになっている。そのため、公開鍵によって暗号化され送信された暗号文は、秘密鍵を持っていなければ復号化できない。ハッカ―が公開鍵だけを手に入れたとしても、復号化はできないのである。公開鍵は、従っていつでもオ―プンにしておけるので、「公開鍵暗号方式」と呼ばれるのである。

 最近は、量子を使った鍵の配送も検討されているが、実装は困難という評価だ。

 しかし、いかなる方式でも鍵を配送しなければならない以上、途中で他者が入り込む、いわゆる「中間者攻撃」を防ぐことはできない。

 インターネットは、常に「中間者攻撃」にさらされているのである。公共WiFiを一度でも使ったことがある人は、このことを覚悟した方がよい。それ位、ネットの世界は危ないのである。だからこそ、今日多くの詐欺や金銭盗難が横行しているのである。

7.このように考えてくると、完全に安全なのは、暗号鍵を配送せず、遠隔地にいる情報生成者と使用者を離れた状態のままシンクロさせることである。これを「遠隔非同時同期」という。

8.この「情報理論的安全性」を満たすアルゴリズムと「遠隔非同時同期」で暗号鍵を配送せずに手に入れることができれば、「完全暗号」が可能となる。実は、これを実現した日本のベンチャーがある。これから、どこもこの技術を必要とするのではないか。

8.CBDCは、国家の基幹であり、その安全性は完璧でなければいけない。ゆめゆめブロックチェーンなどの脆弱な技術に頼るようなことがないよう心すべしと願う次第である。

   (以上)

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